2月24日に、『あなたがうまれたとき』という絵本が出版されます。
この作品は、数年前、娘が大きな挫折を経験し、辛い時期を過ごしていた時に文章にしたものです。私もできるだけのことをしようと日々奔走していましたが、結局、一緒にいて気持ちを受け止めてあげることしかできませんでした。
そんな葛藤の毎日を送っていたある日、
「ママが私を産まなければこんなに辛い思いはしなかったのに」
と娘に言われました。その瞬間、娘が生まれてからこれまで過ごしてきた時間が走馬灯のように頭の中を駆け巡りました。そして、伝えたいと思いました。少なくとも、私はあなたと過ごしてきた一瞬一瞬を大切に愛おしく思ってきたのだと。
文章に起こしてすぐに、お世話になっている編集者の方にお送りしました。そして、絵本にしましょうとお返事をいただきました。ところが、なかなかイメージに合う画家さんが見つからず、お互いにやりとりすること二年あまり。あるとき、編集者さんから「横須賀香さんはどうでしょう?」とメールがありました。
横須賀さんの透明感のある水彩画の作品とこどものかわいらしい表情を見て、私もぜひお願いしたいと思いました。そこから、さらに一年ほど。横須賀さんが大切に丁寧にイメージを絵にしてくださり、今月ようやく出版されることになりました。どのページもみずみずしく愛おしい。画集のような素敵な絵本になったと思います。
娘も来年成人式を迎えます。今は新しい環境でがんばっている彼女に、この絵本をプレゼントできたらと思っています。
この絵本はあくまでも、私から娘への想いをつづったものです。どの親子にも当てはまるものではないかもしれません。でも、母と子の想いは強いほどすれ違うことがあります。そして、近いからこそ、真っ直ぐに気持ちを伝えることができないことも。絵本を通じて、想いを伝えることができたら… そんなふうに思っています。
補足:
この表紙の女の子がどうやらうちの娘に似ているようです。友人数人に言われました。写真をお見せしたこともないのに、不思議です。
2022年2月8日 くさかみなこ
『あなたがうまれたとき』小学館 くさかみなこ 作 横須賀香 絵
https://www.shogakukan.co.jp/books/09725142
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